キャラクター/孤独な人の肖像 

キャラクター

■キャラクター/孤独な人の肖像/KARAKTER
・1996/125/オランダ
・監督: マイケ・ファン・ディム
・出演: ヤン・デクレイル/フェジャ・ファン・フェット/ベティ・スヒュールマン
<感想>
1920年のオランダ。アムステルダムで私生児として生まれたヤコブ。無口な母の元で育てられた彼はやがて父が冷酷無比な執行官ドレイブルハーブンだと知る。
徹底的に痛めつけられ人生の中で足掻くヤコブは父を見返すことを目標に成り上がっていく。

冒頭殺人が起こり若き青年弁護士ヤコブが逮捕されるところから始まる。警察官にいったい死んだドレイブルハーブンとヤコブがどんな関係なのか訥々と語るヤコブという形式でスタートするのだが、もうこれは4人の役者の素晴らしさに尽きる。

ヤコブ、ヤコブの母、父のドレイブルハーブン、そして無学で教養がなく独学で成り上がるヤコブを世話し続け実質父とも言える存在の弁護士事務所の所長である。

いったいなぜここまでドレイブルハーブンがヤコブを痛めつけるのか。「苦しめて苦しめて鍛え上げる」とドレイブルハーブンが漏らすのだが見ていればわかるがドレイブルハーブンのは実に不器用な愛情である。

そもそもドレイブルハーブンはヤコブの母を愛している。たった一度の関係でヤコブが生まれるわけだがドレイブルハーブンは「いつ結婚する?」という手紙をヤコブの母に送り母はそれを断固拒否する。これが歯痒くてドレイブルハーブンはずっと送り続けなんと何十年ぶりかに再会したそのときも「いつ結婚する?」というのだ。

この不器用さをヤコブも受け継いでいて結局愛する女性を失ってしまうわけだが、しかしヤコブが恵まれているのはヤコブのことを全身全霊を傾けて守ってくれる事務所の所長がいることだ。ヤコブは気付いていないがその優しさは見ている方としてはひどく暖かい。

家族とは一体なにか。愛か、憎しみか、最後の最後に遺書に「父より」と書いているドレイブルハーブン。最後まで不器用な男である。一気に見てしまった佳作。時間を忘れためずらしい映画だ。


[ 2006/12/04 00:17 ] 映画感想き | TB(0) | CM(12)

エンパイア レコード 

エンパイア・レコード スペシャル・エディション

□エンパイア レコード/EMPIRE RECORDS
・1995/90/アメリカ
・監督:アラン・モイル
・出演:リヴ・タイラー/アンソニー・ラパリア/マックスウェル・コールフィールド/デビ・メイザー/ジョニー・ホイットワース/ロビン・タネイ/レニー・ゼルウィガー/ロリー・コクレイン/イーサン・ランドール 
<感想>
いわゆる大手じゃない老舗レコードショップ「エンパイア・レコード」。
そこでアルバイトしているのは個性的すぎる若者たち。そのうちのひとりルーカスはある日偶然エンパイア・レコードが大手に買収されようとしているのを知り、店の売上金9000ドルを増やそうとしてカジノで全部店の売り上げを擦ってしまう。

店長のジョーはそれを知って怒るが後の祭り。実はジョーはオーナーのミッチから店を守るために買い取ろうとしていたのだ。一方店員のひとりAJは今日こそコニー(リヴ)に告白すると大決意。だがそのコニーは幼い頃からの憧れで本日キャンペーンにやってくる落ち目のアイドルレックスに処女を捧げると決意していた。



ってなわけで期待せずに見たらこれがもう最高に面白かった。出演者たちもごらんの通り。下積み時代のレニーだとかリヴだとかなのだ!

これはHRが好きな人間にはたまらない。痺れる。内容はなんてことないんだが、「みんなトラブルがあるんだ」と元凶のルーカスが淡々というように、コニーは優等生のお嬢様なのに薬をやめられなくて、コニーの親友ジーナ(レニー)はイケイケのだれとでも寝ちゃう女の子だけど歌手になるオーディションが怖くてたまらない。
コニーと犬猿の仲のデブラは出勤するなりいきなりスキンヘッドで手首に包帯。AJも美術の専門学校に行っていいのか迷ってる……

もーみんながカワイイ。9000ドル失ってさあどうしようってのを主題にしながらレコード店の一日が過ぎていく。ニヤニヤ笑いが止まらないというか、キャンペーン歌手レックスの「いわないでモナムール」がもう笑えて仕方がない。ちなみにレックスは人間性が最低だ(笑)

HR/HMその他音楽が好きなら迷わずにレンタルショップに行こう! それでつまんない映画を借りるならこれを借りよう! レニーがこの頃から歌ってる。なんというかものすごーく懐かしくて今も好きなんだけど、もっと昔の頃を思い出すというか、音楽のドタバタというかが味わい深い。

ちなみに私はロリー・コクレインが好きなのでこの映画を見たのだが、いやー、実に個性的。本人基本的にインディーズ映画にしかでたくないと決めているのが大変勿体ない限り。この当時彼はレニーと付き合っていたのだが彼はインディーの世界へ、レニーは大女優へとある意味あげ…… いやいや、ロリーはベン・アフレックとも友達でまさに「周囲に花を持たせる人」になってしまった。まーベンの今はあれだが(笑) とにかく彼の周囲の人がみんな売れっ子になるという面白い人である。


そんなロリー演じるルーカスはアホ萌なら萌えずにはいられないほどのアホッ子。
カジノで金を使い込んだルーカスは「俺は街をでる。じゃあな」とバイクで格好良く去っていく(笑) なのに1時間後店に戻ってくるアホッ子。
店長のジョーに叱られて「いいから今日はもうそのソファーから離れるな! 殺すぞ!」といわれたのでずっとソファーに座っている(笑) 
やがてソワソワ。
「ジョー……」
すごい音で全然聞こえない。店長室ではジョーが頭を抱えている。
「トイレに行きたい……」
でも返事がないので行けない(笑) ソファーから離れられないルーカス。と、本当にカワイイ。でもやがて我慢できなくなったのでソファーのクッションを抱きしめながら離脱(笑)

その後万引き少年を捕まえたりなんだりするんだけども9000ドルのことは全然反省しないルーカス。ジョーに「おまえを警察に突き出すのは簡単だ! けどもおまえの保釈金はだれが払う? 俺だよ! 俺!」とか怒鳴られても涼しい顔。
なんでジョーが保釈金を? っていうかジョーなんで閉店係で金庫番をルーカスにさせたんだよとか思っていたら、なんと施設に入れられたルーカスを13のときからジョーが引き取って育てたとかいうおまけ付きでなるほどなーと。兄みたいなものだったのだ。

ちなみにルーカスはアホだが賢い。なんかテンポのずれた人なのだ。他人をよく見ていて実は状況を一番よくわかっているんだが、マイペースで動いているから他人にはルーカスがなにをしているのかいまいちわからない。
勿論それが大迷惑になっていることは間違いはないのだが(笑) が、本当にカワイイ性格で動きで行動でジョーが引き取ったのもよくわかるというか、このまま死ぬまで(誇張でなく)延々面倒見ることになるんだろうなー、でもきっとジョーはそれが幸せなんだろうなー(なにもいわずにみんなを守りたいと考えるジョーのことを実は一番よくわかってるから)と思うと微笑ましかった。

みんなお幸せに!

[ 2006/12/04 00:16 ] 映画感想え | TB(1) | CM(0)

11人のカウボーイ 

11人のカウボーイ

■11人のカウボーイ/THE COWBOYS
・1971/129/アメリカ
・監督:マーク・ライデル
・出演:ジョン・ウェイン/ロスコー・リー・ブラウン/コリーン・デューハースト
<感想>
牧場を経営するウィルは千頭を越える牛の大群を移動させるために悩んでいた。なぜなら時はゴールドラッシュ、いつものカウボーイたちがこぞって金の採掘に行ってしまったのだ。
しかたなくウィルは11人の少年たちを雇いカウボーイとして鍛え上げ旅に出発する。

これだけ書くとありがちな少年ものに見える。実際最初はそんな始まり方をする。だが今の私たちには及びもつかないことだがこれは大開拓時代、命を賭けて牛を守り戦うからカウボーイなのであって、ぼんやりと牛を運んでいけるわけではない。

前半は明るい展開だが後半からは怒濤の展開だ。少年のひとりがふとしたことで牛に押しつぶされて死んでしまう。牛を狙う悪党が現れて戦うもののなんとウィルが卑劣な手に掛かって死んでしまう。

そこから少年たちの戦いが始まる。いや、もうすでに少年ではないのだ。子供だと相手にもしていない悪党たちに復讐の牙を剥く彼らは大人になろうとしている。守られる存在であることは罪である。こんな地ではだれかのために強くなければならないのだという姿勢が強くでている。それがアメリカの大開拓時代である。野生の生き物が早く大人になるようにここでも少年たちは素早く成長する。
だから最後子供たちが復讐を遂げるのだ。
最後の顔はカウボーイの顔である。怯え守られていた少年たちはもうどこにもいない。

しんみりとした話なのだが、子供が大人になっていく過程を描いた映画の中ではよくできている。今だったらこんな映画はちょっと難しいかもしれない。

しかしラスト、あれっていいのだろうか。なんか全然死んでいないような気がしたのだが、途中で戻ってきそうでヒヤヒヤした。そして悪役のロングヘアーの前歯がちょっと出っ張っているのが気になった私は彼のことをおそ松くんのシェーの人に似ていると思ってしまった(笑)実際はハンサムな人だけどね。

[ 2006/12/04 00:15 ] 映画感想わ・数字 | TB(0) | CM(0)

あなたが寝てる間に… 

あなたが寝てる間に・・・

■あなたが寝てる間に…/WHILE YOU WERE SLEEPING
・1995/103/アメリカ
・監督:ジョン・タートルトーブ 
・出演:サンドラ・ブロック/ビル・プルマン/ピーター・ギャラガー
<感想>
シカゴ。駅の改札係のルーシーには身寄りがなく毎日駅でいろんな人を眺めている。ある日のクリスマス・イブに不良に絡まれて線路に転落した男を助けたときルーシーの運命が変わった。
ふとしたことから彼の婚約者と勘違いされてしまうのだ……

寝ているだけ(意識不明)の彼が結構悲惨な気もするこの映画、ルーシーが変なヤツだったらキモチ悪いところだが、天涯孤独の彼女は家族ができた楽しさで告白できなくなってしまう。恋愛というよりも家族が欲しかったわけだ。なんども言い出そうとはするのだがお約束で言い出せないルーシー。

まあ夢物語というか、天涯孤独でもみんなから愛されまくって最終的には男の弟と恋に落ちて、なんだかんだいいつつハッピーエンドなのでご安心を。しかし寝てるだけの役者さんは最後には目覚めるけどそれでよかったのか……(笑) お爺さんが最高にいい味を出しているぞ。
[ 2006/12/04 00:14 ] 映画感想あ | TB(0) | CM(0)

処刑・ドット・コム 

処刑・ドット・コム

★処刑・ドット・コム/MY LITTLE EYE
・2002/95 /アメリカ
・監督:マーク・エヴァンス
・出演:クリス・レムシュ/ジェニファー・スカイ/ショーン・CW・ジョンソン
<感想>
ネットハウスで6ヶ月間耐え抜けば100万ドルという言葉に集められた男女5人。
どこにあるのかもわからない山中、雪が降り積もるその家で彼らは生活をしてきた。ひとりでもリタイアすれば脱落になってしまうこのゲーム、終了を間近に控えたときに異変が起こり始める。

もうネタは最初からわかったと(笑) リアルスナッフの賭けゲームって見て10分でわかってしまった。
最初はすごくしょぼくて寝てしまうと思ったが後半殺され始める頃からちょっと面白くなるよ。

ラストも完全に予想できる。でも結局ちょっと無理があるなあと思ったのは

あのふたりだけで5人をどうやって山中に?

ってところだな。まーいろんなことは警察官だからあれだとしても、主人公たちもおかしいと思ったらカメラ外せよみたいな。

心の癒しはレックスくん。かわいかった。生きてて欲しかったな。怪しいヤツは始まってすぐにわかるのも特徴のこの映画、怖くもなくひねりもなく、ま、ありがちってことですな。

[ 2006/12/04 00:14 ] 映画感想し | TB(0) | CM(0)

噂の二人 

噂の二人

■噂の二人/THE CHILDREN'S HOUR
・1961/108/アメリカ
・監督:ウィリアム・ワイラー
・出演:オードリー・ヘプバーン/シャーリー・マクレーン/ジェームズ・ガーナー
<感想>
カレン(オードリー)とマーサ(シャーリー)は学生時代からの親友で寄宿舎を経営していた。彼らは地元からの信頼も厚くカレンには有力者の恋人もいた。しかし有力者のひとり、ティルフォード夫人の孫娘を引き取ったときに悲劇が訪れる。
邪悪な子供の嘘によって同性愛の噂を立てられ言われない迫害と差別を受けすべてを失う女性の悲劇。

いやーすごいね、子供がすごいね。メリーって少女は邪悪だね。病的なほど我が儘で叱られるのも我慢ならない嘘つき少女。しかも手癖が悪くて人のものを盗むと来た。これが甘やかされて信じられて町全体がこの子供を信じて主役二人がひどいことになる。

カレンは婚約破棄、マーサは自殺…… 強さで乗り越えて最後には人生を立て直すという映画でもあるけど、全然スッキリしない不快感100%映画。救いはメリーの嘘が最後にばれてティルフォード夫人が謝罪に来るところ(でも少女が来ないのがムカツク)

新聞広告も載せて賠償金も払いますに「あなたの良心のためですか。お金さえ出せば夜枕を高くして寝ることができますね」と言うのも当然。ティルフォード夫人の気持ちもわかるんだが実際このふたりの女性はあまりにも悲惨。失ったものが多すぎた。ラスト振り返らずに町を去るカレン。私だったら腹が立って仕方なかったろう。しかしメリーはどうなったんだ。無罪放免だったらムカツク。こんな頭のおかしい娘は更正も不可能だろうから永遠に座敷牢に閉じこめておけ、寄宿舎なんか入れたらまたろくでもないことをするのは100%確実だと映画なのに憤っていた。

とにかくかなり不快感が高い。マーサの告白も周囲がああなったせいで混乱したとしか思えないしなあ。一種のノイローゼだよね。なんかの錯覚なのになあ。あまりにもかわいそう、あまりにも。


[ 2006/12/04 00:12 ] 映画感想う | TB(0) | CM(0)

未来は今 

未来は今

■未来は今/THE HUDSUCKER PROXY
・1994/111/アメリカ
・監督:ジョエル・コーエン
・出演:ティム・ロビンス/ジェニファー・ジェイソン・リー/ポール・ニューマン 
<感想>
1950年代。
大会社の社長が急死した。なぜか45階から突然飛び降りたのだ。そんな会社の株は社長が全部持っていた。一ヶ月後には公開株になってしまうが重役たちには今の値段では手がでない。会社買収を一案した重役たちは「間抜けな社長」を担ぎ出して株価の暴落を狙う。
それに選ばれたのがノーヴィル。予想通り間抜けな彼はどんどん会社の株を暴落させる。だが彼のアイデア商品が思わぬ大ヒットを飛ばしていく。

いやーなんともまったりとした感じの映画。笑うべき所で笑いなさいという感じ。ティム・ロビンスがコメディをやっているのもめずらしい。
新製品がフラフープなのか笑える。でもなんというか見ている間はそれなりに楽しいんだが別に見なくてもどうってことのない映画であることも確かなのだ。

コメディで明るくて小ネタは面白いんだけど二回見るかといわれると疑問かなあ。でもズボンの二重縫いエピソードが大好きなので悪くはないといいたい。マスバーガー役のポール・ニューマンはすっごくいいね。

後全体的に英語がキレイ。勉強にピッタリ。あんまりわかりやすい英語だったのでなっちの字幕が際だつ際だつ(笑) 現代版おとぎ話。ほのぼのしたいときにどうぞ。
[ 2006/12/04 00:11 ] 映画感想み | TB(0) | CM(0)

Re:プレイ 

リプレイ

■Re:プレイ/THE I INSIDE
・2003/92/アメリカ/イギリス
・監督: ローランド・ズゾ・リヒター 
・出演: ライアン・フィリップ/スティーヴン・レイ
<感想>
サイモン・ケーブルが目覚めたときそこは病院だった。
しかし彼は2年間の記憶を失っていた。彼が覚えているのは2000年。そして今は2002年。記憶のない彼は記憶を辿っていく。
結婚した覚えはないのに妻がいること。そしてなぜか兄は死んでいる…… なぜが謎を呼び彼は過去と未来をくぐり抜ける……

いやー、すごい映画だ。あまりのわけのわからなさに調べてみたりしたほどだ。でなきゃ一刀両断で「わけわからん」と言ってしまうところだ。
この話はつまりサイモンの心の中で起こっている。彼は2000年に死んでいて兄もその婚約者も死んでいる。みんな死んでしまったのだ。

2002の二年は心臓が止まった2分の象徴なのか、とにかく彼は兄と婚約者を救うために無限に心の中をたぐり寄せる。山岸凉子の成仏できなくて延々道を彷徨う女の人の話を読んだ人になら感覚がわかってもらえるだろうか。日本人の方がよりわかりやすいだろう。彼は死んだことがわかっていないのだ。つまり成仏できていないのである。キリスト教圏では大変めずらしい考え方だ。

「いつかは抜けること」という言葉が繰り返し出るがこれは「いつかは成仏すること」に置き換えるといいと思う。だがまだ「THE I INSIDE」に、こちら側に残っているから同じことが繰り返される。善と悪が心の中で戦い続けていく。邦題は的確だが脚本家の心中としては「繰り返すんじゃなくて成仏できてないんだよ〜」と言いたいところだろう。繰り返す限り救われないのはお約束である。

しかし映画的にはこれは失敗。だって本当によーく考えないと意味不明なのだ。道義的意味で解決はない映画だがちょっとあまりにもわかりにくい。気持ちはわかるがテーマが難しかったかなと思う。なんというか自分勝手な映画になってしまったのだ。うーん、勿体ない。


[ 2006/12/03 23:10 ] 映画感想ら〜ろ | TB(0) | CM(0)

ケリー・ザ・ギャング 

ケリー・ザ・ギャング

★ケリー・ザ・ギャング/NED KELLY
・2003/110/オーストラリア/イギリス/フランス
・監督:グレゴール・ジョーダン
・出演:ヒース・レジャー/オーランド・ブルーム/ジェフリー・ラッシュ/ナオミ・ワッツ
<感想>
開拓時代のオーストラリアで実在した伝説の義賊ネッド・ケリーの生涯を映画化。
若きネッド・ケリーはアイルランド移民のひとりだった。彼の父が罪を犯したため犯罪者として流刑された末裔だ。彼自身は家族と共に真面目に生きようとするのだが周囲の偏見とイギリス警察からのいわれのない迫害でついには無実の罪で投獄される。出所したネッドはやがて弟のダンや親友のジョーと共にケリー・ギャングを名乗り銀行強盗で民衆に金を分け与えていく。やがて彼らは民衆に支持されていくが……

劇場未公開のこの映画、なんとなく見たのだが面白かった。ちょっと信じられないほど豪華な顔ぶれなのだが劇場未公開の理由はよくわかる。

アラモと同じだ。これってネッド・ケリーのことやオーストラリアが植民地だった話、アイルランドとイギリスの関係とかがわかっていて初めて面白い映画なのだ。忠臣蔵みたいなものだ。
私はネッド・ケリーはうっすらとしか知らなかったが、植民地政策時代の話をディスカバリーで見ていたのとアイルランドとイギリス系の話をよく見ていたのですぐに馴染めた。

内容自体はシリアス。重い。ラストはなんだかどんよりとする。哀れというか胸が詰まる。なるべくしてこうなったんだなあと思うし、義賊って普通は自分勝手なモノを感じるが(私はアメリカで好かれているジェシー・ジェームズは好きではない)ケリーはもうこうなるしかなかったんだなあと。

差別され迫害され「犯罪者の息子だから犯罪者」無実の罪でも(警察官をネッドの妹が振っただけでいわれのない罪を着せる。通りで賑やかに笑うだけで彼らが必死で働いて集めた馬を全部盗んで一文無しにする)「あいつらだったら当たり前」って目で見られて家族も虐げられるって残酷だ。

署名嘆願が何万通も集まったのも頷ける。あれは迫害されている人たちのすべての姿だったんだなあと。見るとかなり暗い気分になるがよく作っていると思う。
しかし私はオーランド・ブルームにはまったく興味がないようで、わかっていて見ていたのになんか全然彼のキャラが頭に入らなかった。正統派の美形は印象に残らないようである。しかし活躍はしているのでオーランド・ブルームファンは見て正解じゃないだろうか。

[ 2006/12/03 23:09 ] 映画感想け | TB(0) | CM(0)

月の輝く夜に 

月に輝く夜に

□月の輝く夜に/MOONSTRUCK(アカデミー賞・主女・助女)
・1987/102/アメリカ
・監督:ノーマン・ジュイソン 
・出演:シェール/ニコラス・ケイジ/オリンピア・デュカキス/ヴィンセント・ガーディニア/ジュリー・ボヴァッソ/ジョン・マホーニー
<感想>
NYのとあるイタリア系ファミリーのドタバタを描いたラブコメディ。
ロレッタは未亡人。旦那に死なれて以来なんとなく後ろ向きに生きてきた。ロレッタの父親は浮気をし母はそれに泣かされ祖父は今や夜中の犬の散歩だけが生き甲斐。ある日幼なじみ(40越え未だ独身)にプロポーズされたロレッタは「別にいいわよ」と結婚を了承する。「今度こそ悪運のない幸せな結婚を来るわ」と淡々と語るロレッタ。

ところが幼なじみは母親が危篤と故郷シシリーに行ってしまう。母親が死んだら結婚すると決めた二人だが幼なじみは不仲の弟を結婚式に招待したいので説得して欲しいとロレッタにお願いする。
隠して幼なじみで今や婚約者となった彼の頼みを聞くために彼の弟ロニーに会ったロレッタはなんとロニーと恋に落ちてしまう。


普通こういう展開だと腹が立つものだがこれは違う。ああイタリア系。家族を大切にするからこそ好きになっても別れようとするロレッタ。兄に告白しようとするロニー。イタリア社会では兄の婚約者を寝取るなんて命がけだ。

なぜ真実の愛に出会うまで待たなかったのかと後悔するロレッタ。冴えない彼女が美しく変貌するところでまさにタイトルを感じる。これは月がかけた魔法なのだ。月の輝く夜に自分の心を見つめ直してごらん。そこに一体なにが見える?
ロレッタ演じるシェールの演技は素晴らしい。
なによりこの映画は脇も輪をかけて素晴らしい。いくら文字で書いても伝わらないだろうが母の女学生に手を出してはふられる大学教授との邂逅、揺れる心、人妻よと去っていく表情、最後の浮気を諭すシーンなどがたまらなくいいのだ。更に祖父がいい味を出している。

素晴らしいなあと思った二人は案の定アカデミー賞を取っていた。不倫ではないがそれに近い恋愛モノなのに素直に感動するめずらしい映画なのは幼なじみが当て馬というよりも幼なじみもロレッタよりママ主義で、更にいえば節度もある家族映画だったからだろう。オペラも感動的。ちなみにラストは笑って泣けるぐらい素敵なお約束ハッピーエンドなので安心してどうぞ。

ああ、ロニーはニコラス・ケイジだが別に気にならない。だってそもそも彼はイタリア系。こういう映画に混ざるとすごく自然だったよ。

[ 2006/12/03 23:07 ] 映画感想つ | TB(0) | CM(0)

しあわせの法則 

しあわせの法則 デラックス版

■しあわせの法則/LAUREL CANYON
・2002/104 /アメリカ
・監督:リサ・チョロデンコ
・出演: フランシス・マクドーマンド/クリスチャン・ベイル/ケイト・ベッキンセイル/ナターシャ・マケルホーン/アレッサンドロ・ニヴォラ
<感想>
ハーバードの医学部を卒業したサムには同じく頭のいい婚約者アレックスがいた。ふたりは卒業と共にお互いの研究を続けようとLAに行くことにしていた。途中サムは実家に立ち寄るがそこにはサムの母親で音楽プロデューサーのジェーンが恋人でミュージシャンのイアンと一緒にいた。

というわけで運悪く不仲の母と息子が一緒に滞在することになるこの映画、なにが幸せの映画だったのかはいまいちよくわからなかった。

物語的に普通メインになるのは母と息子だと思うのに、メインはサムの彼女のアレックス。お堅くて遊んだことのない彼女が悪い遊びをどんどん覚えて新たな世界に目覚めていく。まあそりゃあある意味幸せだと思うんだけどね。いろんな世界を知るのは……

正直アレックスとサムは結婚しなきゃいいね。上手くいかないことは目に見えているのでなんだかなあと思ったよ。

[ 2006/12/03 23:06 ] 映画感想し | TB(0) | CM(0)

g:mt/GREENWICH MEAN TIME 

g:mt グリニッジ・ミーン・タイム

□g:mt/GREENWICH MEAN TIME
・1999/118/イギリス
・監督: ジョン・ストリックランド
・出演: ステーヴ・ジョン・シェパード/アレック・ニューマン/ベンジャミン・ウォーターズ/キウェテル・イジョフォー
<感想>
読み方は一応「ジーエムティー」でも意味は「Greenwich Mean Time」で世界標準時。

ロンドン郊外グリニッジ。サム、チャーリー、リックス、ビーンの4人組は音楽を目指していた。最初は上手くいかないながらも頑張った彼らはやがて成功の兆しを感じ始める。

チャーリーはプロのカメラマン、リックスとビーンはサムの恋人のボビーをボーカルに迎えたときから売れ始めミュージシャンとして成功し始める。幸せそうだった4人。しかしチャーリーがバイクの事故で下半身不随になったときすべてが狂い始めた……

悲しい。タイトルがダブルミーニングで「グリニッジの厳しい月_(Mean Timeの意味がそれ)」を含んでいるんだが、輝いていたチャーリーが事故したときに運命が狂っていく。

あまりにも哀れなビーン。ドラッグにはまりどうしようもない人生に陥っていく。どこで運命は狂ったのだろうか。それでも人は生きていかなければならない……

音楽と青春を絡めたなかなか秀逸の映画。ビーンの転落ぶりがすごい。そこら辺やっぱり「イギリス映画だなあ」という感じ。トレスポシリアス版かな。最後まで見て思いながらもどこか後味が良かったのが印象に残っている。好きな俳優がいれば感じ入ることがあるかな。青春映画としてかなりいい部類の出来じゃないだろうか。


[ 2006/12/03 23:03 ] 映画感想く | TB(0) | CM(0)

偶然 

キェシロフスキ・コレクションI プレミアムBOX

☆偶然/PRZYPADEK
・1981/122/ポーランド
・監督:クシシュトフ・キエシロフスキー
・出演:ボグスワフ・リンダ/タデウシュ・ウォムニッキ/Z・ザパシェビッチ
<感想>
田舎で暮らす青年ヴィテク。彼には厳しい父親がいた。厳しく育てられ、多大に父の影響を受けた青年は父親が死んだとき医者になろうと決意する。そしてワルシャワで勉強をし海外に行こうと考える。
しかし彼が駅に着いたときワルシャワ行きの列車はホームから動き始めていた。ヴィテクは駆け出し列車の扉に手を伸ばす……

この映画は3つの偶然を示した映画だ。3通りの人生をヴィテクは歩んでいく。

列車に乗ることができた場合彼は共産党員になる。そして恋人ができるがやがて破局する。

列車に乗るときに騒ぎになって逮捕された場合は刑務所で反体制派の運動家と知り合う。そしてヴィテクはカトリック神父に身を変え地下活動を始めていく。だがやがて仲間から疑われる。

列車に乗ることができなかったら彼は平凡な人生を送る。結婚し医者になり海外に向かう……

なんとも皮肉な運命を描いた映画。実は冒頭ですべての謎解きがある。
人には避けられない運命がある。どんな生涯を歩んでも最後に行き着くところは同じなのだろうか。キェシロフスキは私の好きな監督なのだが彼の描くところには運命というものがある。

第一の人生で彼は共産党員として成功していく。かつて田舎で別れた幼なじみと恋人同士になる。第二の人生の彼は地下活動家だ。これもまた成功する。第三の人生では医者として成功し、医学生の時に知り合った女性と結ばれる。

だが最後に行き着くのは空港である。栄誉に包まれて、逃亡するため、海外に医者の研修に行くため、歩んだ人生は違い思想も立場も違う3種の人生が空港で交錯する。
ラスト飛行機が飛び立ちそして爆発するシーンで私は目を覆った。

キェシロフスキはいつも容赦ない。彼には甘ったるい虚飾などものともしない鋼の強さがある。同情や恋愛や優しさというものを飛び越えた人間の本質を抉るような冷徹な目がある。人が死ぬときそこに飾りを入れない衝撃的な切り口がある。衝撃的で静かだ。だから響く。
真っ向から見据えて撮ったこの映画は長い間発禁扱いだったという。そのため劇場未公開であり日本でも長い間見ることはできなかった。
この映画はキェシロフスキの初期作品で、映画監督として成熟していない時期に作ったのに完成度が高い。

今だとDVDが出ているので楽に見れると思う。これから見るとキェシロフスキのハードルは高いかもしれないが、後に続く数々の映画の根幹でもあるので是非見ていただきたい。この無常観、諦念、虚無感、結局人はどう足掻いても運命から逃れられないということを、嫌味や諦めではなくキェシロフスキの感情の入らない突き放した視点で描いている。これがウエットな監督で撮っていると湿っぽく思想とか宗教にまみれてしまいそうなのだがキェシロフスキは非常にドライだ。これほどドライだからこそ「殺人に関する短いフィルム」といった衝撃的でこの人にしか許されないような映画ができたのだろう。

見る機会があれば是非。今の若い人にこそ「殺人に関する短いフィルム」とか見て欲しいんだがなあ。見たら衝撃でご飯が食べれなくなるかもしれない。人を殺すということがいかなることか、どのような重さなのかを赤裸々に見せつけている。まあこの映画の感想はちゃんとしたところで。

[ 2006/12/03 23:01 ] 映画感想く | TB(0) | CM(0)

レボリューション6 

レボリューション6

■レボリューション6/WAS TUN, WENN'S BRENNT?
・2002/101/ドイツ/アメリカ
・監督:グレゴー・シュニッツラー
・出演:ティル・シュヴァイガー/マーティン・ファイフェル/セバスチャン・ブロムベルグ/ナディヤ・ウール/マティアス・マシュケ/ドリス・シュレッツマイヤー/クラウス・レーヴィッチェ
<感想>
ドイツベルリン・クロイツベルグ地区マッハナウ通り。かつてそこには6人のアナーキストな若者が住んでいた。1987年彼らは爆弾を仕掛けたがそれは不発に終わった。

それから15年。ベルリンの壁が崩壊した今6人のうち4人はすっかり真っ当な生活を送り仲間のうちティムと車椅子のホッテだけが相変わらずその廃屋に住んでいた。
ところがなんの因果か15年前に仕掛けた爆弾が2002年の今になって爆発する。躍起になった警察が捜査し押収した中に偶然6人の犯罪を示すフィルムがあった。

「ポーランドへ逃げちまおうぜ」といいつつお人好しのティムとホッテは仲間に連絡を取る。かくしてかつての仲間たちがもう一度あつまりフィルム奪還の計画を立てるのだった。

右とか左とか関係ないよ、つまりは友情なんだよという「ドイツというお国柄だから」こそのネタ。
かつての仲間が集まって計画を立てるのが面白い。話的にはありふれているんだが、かつて若い青い頃を一緒にした仲間たちを大切にするというか、ラストの爆弾エピソードがジーンとする。

かつて給水車にひかれたホッテをみんなで見捨ててしまった。ティムだけが側に残って彼の面倒を見た。再びホッテが救いを求めたとき「もう今度は逃げない」とみんなで救いに行く。エリート広告マンのマイクがティムを大好きな気持ち、ホッテがティムを大好きな気持ち、気弱な弁護士テラーの見せちゃう勇気、女の子ふたりの可愛さ、彼らを追う老刑事の「催涙弾の影響かな」って飄々とした台詞、青春映画(ちょっとオッサンになった)としてなかなか面白い。

アナーキーなはじまりだったのでやばい政治思想ネタだったらと思っていたが、なんのことはなく正統友情ものであった。ドイツ映画のこういう家族系を大切にするネタは面白いなあ。陰鬱な映画も多いけどコメディも多い。普通に正統派に面白い映画だったので投げずに最後まで見ることをお薦めする。

[ 2006/12/03 23:00 ] 映画感想ら〜ろ | TB(0) | CM(0)

キッチン・ストーリー 

キッチン・ストーリー

□キッチン・ストーリー/SALMER FRA KJOKKENET(「ゆっくり、ともだち」は素晴らしいコピーだ)
・2003/95/スウェーデン/ノルウェー
・監督:ベント・ハーメル
・出演:ヨアキム・カルメイヤー/トーマス・ノールシュトローム/ビョルン・フロベリー
<感想
1950年代の北欧。スウェーデンの家庭研究所はとある調査をしようとしていた。それは独身男性の台所での行動パターン。かくしてトレーラーを引き連れた一群がノルウェーへとやってくる。
調査員リーダーフォルケもそのひとり。彼が担当することになったのはイザックという老人だったが頑固で最初はドアさえ開けてくれない。

しかしねばり強く頑張ってなんとか観察が始まった。台所に奇妙な監視台を設置して24時間見下ろして監視する。規則で「口をきいてはいけない」と決められているのでなんとも気まずいふたり。その上イザックは台所で料理をしない。だがいつしか言葉を交わすようになり友情が芽生えていく。だがそれが上司に見つかったとき……

なんともユーモラスな北欧らしい話。家具とか素晴らしい作品を作っている国民性ゆえかこれは現実にあった話だそうだ。この映画のポイントはふたりの友情にある。ほのぼのしていて柔らかくてふたりで正装して誕生日を祝うシーンなどどうしてくれようかと思うほどかわいい。
このふたりの男はとても優しいのが見ているとわかる。特に頑固なイザックはなんとも優しい人だ。眠っているフォルケにそっと毛布(か上着)を掛けてあげたりする。ちなみにこの調査はモニター応募でイザックがなぜ応募したかというと「馬」をくれると聞いたから。でもくれるのは木彫りの赤い馬(笑) ここら辺グッと切ないアイテムにこの馬が使われている。

それにしたってフォルケが来るまで唯一の友人だったグラントの嫉妬がすごい。一般的には人種(両国は仲が悪い)解釈らしいが今まで見せたことのない笑顔で話しているイザックを窓の外から見たり、医者が「彼の体が心配だから連れてきてくれ」に「俺が言っても無駄さ」なんてすごーく拗ねたように答えたり、イザックの誕生日を祝って寝てしまったフォルケにチェロを弾き聞かせているイザックを外からケーキを持って見ていて泣きそうになりながら帰っていったり(せっかく祝おうとしたのに先越されたね)フォルケの上司に規則違反を密告したり、これで別れると思ったらまだ出ていかないのでフォルケが寝ている間にトラクターで引っ張っていって夜の踏切の上に放置したり(けどそれをまたイザックが今度は病気の馬で引いて取り戻しに行く。フォルケは最後まで気付かないけど。そしてそのせいで大切にしていた馬から鼻血が……)と「あいつの行動意味わからん」ってなものが繰り広げられる。

素直に「ああ〜嫉妬か」と思うと違和感ないんだがそういう解釈が思い浮かばない人には悪人か変人扱いだったろうと思うと悲しい。

そんな嫉妬に取り巻かれながら全然気付かずお互いの世界をどうさっ引いてみても仲良しラブを一杯に育むふたりは「クリスマスまで一緒に過ごそう」なんて約束までしてしまうのだが、ラストおもいっきり「監督ハッキリさせてくれよ!」な展開。なぜならフォルケが出ていった後暗闇の中机の上にまるで彼の身代わりにするかのように赤い馬が…… そして身動きもしないイザック。
フォルケが戻ってきてみると病気の馬が引き出され救急車が来ているそして…… と100人が見たら100人までイザックが死んだようにしか見えない展開。その上その後イザックの家にフォルケが住み暮らしている、そしてコーヒーカップは二つ用意されている…… なんてどこかの悲しい恋愛もののようなラストを迎える。
なのにどうも必死でネットで調べると監督的には死んでないらしい。(監督はハッキリそういっていないが監督にインタビューした記事が全部「ラストのコーヒーカップを用意する友情は素敵」なんて締めくくっている。ネタばれはいかんがそういうことか?)
そうだよなあ、そうでないと愛する人を失ったフォルケはそれでも忘れられず彼の家に住み(国の違いも越えて)、彼が生きてるかのようにコーヒーカップを用意するかもしくはグラントとその後友情を育んだことになりかねない。そんなのいくらなんでもヤバイ。

しかしネットで調べてみると「最初はみんな笑ってたのに帰りはみんな陰鬱な表情だった」という感想を見かけたので映画的にこのラストはどうかと思う。映画の感想は監督の意図など関係なくて見た人の感想がすべてだと思うので世論的解釈だと悲しい結末が本筋だろう。

でも私はラスト死んでしまうのはあまりに悲しいので死ななかったことにしておく。
非常にかわいらしい映画なのでホワホワしたいときにお薦め。ラストは各自「あのときはびっくりしましたよ〜」「まだまだ元気だ。死ぬわけないだろう!」を補完せよ!
[ 2006/12/02 01:24 ] 映画感想き | TB(0) | CM(0)

ぼくは怖くない 

ぼくは怖くない

□ぼくは怖くない/IO NON HO PAURA(美しく儚く切ない映画)
・2003/109/イタリア
・監督:ガブリエレ・サルヴァトレス
・出演:ジョゼッペ・クリスティアーノ/マッティーア・ディ・ピエッロ
<感想>
イタリア南部の小さな村。たった5世帯の家族が住む広大な小麦畑が占める村で10才のミケーレ少年は妹と両親と暮らしている。母親は厳しくてすぐに怒るが愛情深く、滅多に帰ってこない父は強い男の印象だ。

そんな小さな村だから子供たちは全員友達になる。ある日みんなで遠出した廃屋でミケーレは偶然から穴を見つける。覗き込んでみるとそこには鎖で繋がれた金髪の少年が…… 驚いたミケーレは恐怖のあまりだれにもそれを言えない。

少年は何者か、一体そこでなにをしているのか? ミケーレはそこに通うようになって……

原作小説のそのままの映画化らしいんだがこれはさすがにネタばれは書きたくない。素晴らしかったからだ。

ミケーレは子供だ。田舎の貧乏な南部のたくましい明るい元気な子供だ。すれておらず素直で世間を知らない。だからこれを一体どうすべきかということを考えないし、子供の無邪気さで隠れて生き物の面倒を見ているようなそんな感じさえ漂う。

そして間違いなく彼は善悪を知っているのだがそれ以上に両親を愛している。正義感に満ちあふれた少年の活躍劇はちまたに溢れるがこれはそんなものではない。ただ淡々としている。事実を知ってからのミケーレの行動がすべてを語る。

一方穴の中の少年フィリッポは北部の裕福な少年だ。同じく10才で知的で優しく繊細だろう。少女のように美しく臆病でさえある。鎖で繋がれ暗闇の中にいたせいで目を開くことが出来なくなっている上、肌が青白く痩せてそこかしこの皮膚が裂けひどい扱いを受けていることがつぶさにわかる。

物語の核はこのふたりの友情のようなものだ。フィリッポは問う「君は僕の守護天使なの?」

天使。

ラストを見ればわかるのだがこれは双方にとってそうなのだ。ヘリの光の中手を伸ばしながらお互いに触れようとするその図、友情でありそして救いなのだ。

蒸し暑く息苦しい貧困の村、「大きくなったらこの村をでると約束して」と苦しげにつぶやく母、大人達が消えたとき「蒸発したんだ。いつかこうなると思ってたよ」とうそぶく村のリーダー格の少年、冷蔵庫の中に鄙びたトマトが数個入っているだけの食卓、泣きながら抱きしめる父をふりほどかないミケーレ、美しい美しい風景、ハリネズミや蛇やフクロウ、子供の背丈まである麦の穂に赤い甘い花。

ぼくは怖くない。
君が怖くない。
父も母も怖くない。

そこにあるのは愛だ。

麦畑の中を転がってふたりで笑う。ふたりの子供の天使がそこにいる。きっと村は消えていくだろう。なくなってしまうだろう。この村は滅ぶのだ。

すべてがミケーレの視線のみのこの映画、驚く場所が3箇所ほどある。タイトル&パッケージで少年ものに感じるかもしれないが、実のところは全然違うのでイタリアの経済事情なども考えながら見るといいかもしれない。
[ 2006/12/02 01:23 ] 映画感想ほ | TB(0) | CM(0)

ビッグ・フィッシュ 

ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション

■ビッグ・フィッシュ/BIG FISH(お父さんは本当に魚になったんだ)
・2003/125/アメリカ
・監督:ティム・バートン 
・出演:ユアン・マクレガー/アルバート・フィニー/ビリー・クラダップ/ジェシカ・ラング
<感想>
ウィルの父エドワードは幻想的な話を話す名人。だが現実主義者のウィルはそんな父と結婚式の日に喧嘩した。そして3年後父の危篤の報が入る。
父の話を思い返しながらウィルは父に本当の話をして欲しいとせがむ。だが父は本当の話しかしていないとしか言わない。

ビッグフィッシュ。物語は息子が生まれた日に大きな魚と格闘したところから始まる。
知らない間になぜか涙が流れていた。

本当に悲しいわけじゃないのになぜか泣けてビックリした。
物語はいつだって荒唐無稽だ。巨人カールや双頭の双子の歌手に魔女。けれどなぜお父さんがこんな話をするのかわかる。優しい、とても優しい話だ。

これってもしかしたら途方もない嘘としか受け止められないかもしれない。けど事実を聞いてそんなに楽しいものだろうか。苦しい辛いことがあったときにそれを話すだろうか。人が楽しんで笑ってくれるのならそれがすべてじゃないだろうか。

生まれたときなにもなかったより魚を釣っている話の方がいい。同じように例えば絶対にセールスは苦しいし戦争で生死不明になったのも苦しい。でも「お父さんな、戦争に行って生死不明でお母さんに心配を掛けた」って話すのより、大冒険をして大活劇をしての方がいいし魔女の話も素晴らしい。

お母さんを愛しているのも水仙の花もきっとあったんだろう。
ラスト息子がお父さんのために話すビッグフィッシュの物語。父は永遠に生き続けていく。本当に魚になったんだってその嘘を見ている私たちが信じることが出来る。そしてそれが優しい嘘であるということも。

ファンタジーと現実の間を話がフラフラしているからもしかしたら馴染めないかもしれない。けどお父さんがとても優しい人だというのはわかる。
荒んでいるときにお薦め。
[ 2006/12/02 01:22 ] 映画感想ひ | TB(0) | CM(0)

スリング・ブレイド 

スリング・ブレイド

□スリング・ブレイド/SLING BLADE
・1996/134 /アメリカ
・監督:ビリー・ボブ・ソーントン
・出演:ビリー・ボブ・ソーントン/ロバート・デュヴァル/ドワイト・ヨアカム/ルーカス・ブラック 
<感想>
観客は救われないのに作中の主役は救われているとても不思議な作品。

カールはまだ幼い少年の頃母と母の浮気相手を惨殺した。彼は知的障害者だがとてもシンプルで素直な心を持っており、母と浮気相手が悪いことをしているから殺してしまったのだった。
そうして彼は精神病院に入ったが25年が過ぎた頃病院を出ていくようにいわれてしまう。

生まれ故郷に帰ったカールはそこで父親のいないフランクという少年と親しくなる。フランクはカールを好きになり彼らの間には世代を越えた友情が生まれる。そしてフランクは自分の家のガレージに住むようにカールにお願いするがそれは母親の恋人ドイルの暴力性を憎んでいるからでもあった。

温厚で優しく無口で真面目なカールは町の住人たちに受け入れられる。だがフランクを守るために彼はドイルを殺してしまうのだった……

この映画は見ている間中結末が予想できる。「あいつを殺してやりたい」と言い続けるフランク。それを「いけないことだ」と諫めるカール。生まれてこなかったカールの弟の幻影をフランクに見たのか、それともフランクがカールなのか。物語が進んでいき埋めてやった弟の墓の前で泣くシーンは胸に詰まる。

ラストカールはまた病院に戻る。殺したことは果てしのない罪。だがカールは救われたのかもしれない。少なくともフランクは救われた。そうして彼は幸せに生きるだろう。そこにフランク=カールの図式がある。フランクはカールのなり得たかもしれない姿。

これなっちの翻訳なのが哀れ。あんまりなっち節でも気にしない私なんだが非常に気の毒になった。勿体ないなあ…… 字幕そのまんまだと絶対に全然面白くないに違いないよ。悲しい切ないけれど救われようとする映画なのになあ。原題も悲しい。撃ちおろす刃。一体それはだれの心に向かったのだろう。


[ 2006/12/02 01:21 ] 映画感想す | TB(0) | CM(0)

コン・エアー 

コン・エアー 特別版

■コン・エアー/CON AIR
・1997/114 /アメリカ
・監督:サイモン・ウェスト
・製作:ジェリー・ブラッカイマー
・出演:ニコラス・ケイジ/ジョン・キューザック/ジョン・マルコヴィッチ/ヴィング・レームズ/スティーヴ・ブシェミ
<感想>
うっかりハイジャックされた囚人輸送機で起こる戦いを豪華キャストで描いた映画。
キャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は元軍人だが酔っぱらいから妻を守るために人を殺してしまった。8年の刑期を経て仮釈放になった彼は妻と娘に会えることを楽しみにしていた。
だが彼が乗り込んだ囚人輸送機には「学士の資格を取った最悪の天才サイラス(ジョン・マルコヴィッチ)」「ライフル協会を爆破した闘士ダイヤモンド・ドッグ(ヴィング・レームズ)」他凶悪犯ばかりが乗り込んでいた。
FBIのビンス・ラーキン(ジョン・キューザック)がその指揮を執るのだが、しかしいろんな思惑が交錯する中飛行機はハイジャックされてしまうのだった。

いやーバカバカしい(笑) 笑っちゃうほど爆発しまくっている映画。キャストが異様に豪華! なんでこの映画にみんな出ようと思ったんだろう。断れなかったのかなあ。

ロンゲのニコラス・ケイジが拝めるぞ。格好いい役をやってるぞ。でも好きになれるかは微妙。一番美味しい役だけど実際はあんまり活躍していない匂いがプンプンする。案の定ブラッカイマー映画なんだがこの映画で一番美味しいのは

「東部で37人を惨殺した伝説の惨殺魔ガーランド・グリーン」を演じるスティーヴ・ブシェミ。目立ったことはしていないのにこの怪演。ブシェミは手放しで素晴らしい。

キューザックも格好良くしてくれているしアホらしさを楽しむ映画なのだ。だっておかしいもんいろいろ(笑)ラストはラスベガスに不時着。ラスベガスが壊されるぞ! ニコラス・ケイジが嫌いな人には見れないかもしれないが、でも他の役者が豪華だしあんまり実は気にならない。ロンゲが画面に映ったときには目を細めてもいい。折角の豪華俳優を使ったけど…… 映画なので遠慮せずに見よう。今ならもうこれは絶対に撮影できない。ギャラ高すぎて(笑)

[ 2006/12/02 01:20 ] 映画感想こ | TB(0) | CM(0)

かげろう 

かげろう

■かげろう/LES EGARES
・2003/95/フランス
・監督:アンドレ・テシネ
・出演:エマニュエル・ベアール/ギャスパー・ウリエル
<感想>
丁度ナチスドイツが侵攻してきた時代、フランスの田舎を舞台にした静かな逃避行。美しいオディールは13才の息子フィリップと7才の娘カティを連れて戦火から逃れていた。夫は戦争で死に逃げるしかないのだ。しかしその途中空爆で財産を失ってしまう。そして17才のイヴァンという青年に救われる。
最初は警戒しているがやがて住人がいなくなった村で彼らは生活を始める。

結構勿体ないなあ。なんかDVDジャケからでもエロチック映画のイメージが漂っていたが、なんかそんなことはなくてひたすら悲しい映画だった。「大人は判ってくれない」をちょっとミックスしたような感じというか、まさにタイトルのかげろうのまんまだった。

一応そういうシーンもあるけれどもそれは必要なことで、ラストの「あの子は逃げ延びたのよ」に悲壮なものを感じた。全然だれも救われない。悲しい。
イヴァンはまさにかげろうだったな。愛されず生きることをあっさりとやめて消えた。

今時こういう映画ってのも結構珍しいかもしれないけれどいい映画だと思う。救われない映画だけどギャスパー・ウリエルの演技も瑞々しい。

[ 2006/12/02 01:19 ] 映画感想か | TB(0) | CM(0)

ブラウン・バニー 

ブラウン・バニー

■ブラウン・バニー/THE BROWN BUNNY
・2003/90/アメリカ/日本
・監督:ヴィンセント・ギャロ
・出演:ヴィンセント・ギャロ/クロエ・セヴィニー
<感想>
ヴィンセント・ギャロの問題作。
これはなくした恋人への喪ク感を綴る映画。カンヌ映画祭でバッシングやブーイング、途中退席があったそうだがそりゃあこれを見せられたらかなりきつかろうというものだ。

一応物語としてはバイクレースで生計を立てるバドが花の名前の女性と恋をしながら旅をしていくという話だが、これって全部バドの妄想にしか見えない。とりあえずラストまで見てみた限りは。

と、私は感じたんだけどね。死んでいない茶色いウサギ、恋人だった彼女の名前は花の名前、延々続く旅の風景……

死んだ彼女が現れてセックスするのもそう。あれは妄想。レイプされている彼女をすてて逃げ出したことへのすべてが罰。ウサギが死んでいないことも、花の名前の女性達も、延々続く旅も、弱さ故に逃げ出してどこまでも逃げていく哀れな男。結局死ぬまで救われない。死んでもきっとわからない。彼女が死んだことも認めない。

だから旅をする。逃げていく。静かにただおかしくなる。そんな一種狂った妄想劇をなんの説明もなく見せられるのは腹が立つだろう。私は問題作というので真剣に見たが、そうでなければ途中で見るのをやめただろう。映画としては成り立っていないのでまあヴィンセント・ギャロのナル作品なんだが、こういったものを撮ってしまうというヴィンセント・ギャロの素にバッファローのころから感じていた「やっぱりなあ」を見つけてしまう。

映画としては駄目だが弱っているときに見るとガツンと来るかもしれない。それも相当心が弱っているとき。まあ映画界にこういうのが一本ぐらいはあってもいい、私はちょっとそう思ったなあ。でも日本が出資してるのが(笑) だれだよ出資したの(笑)

[ 2006/12/02 01:18 ] 映画感想ふ | TB(0) | CM(0)

バッファロー'66 

バッファロー'66

□バッファロー'66/BUFFALO '66
・1998/118/アメリカ
・監督:ヴィンセント・ギャロ
・出演:ヴィンセント・ギャロ/クリスティナ・リッチ
<感想>
ヴィンセント・ギャロの出世作。

ビリーは5年の刑期を終えて出所した。だが彼には行き場がなく両親には「仕事で遠くに行く。結婚した」とまで嘘をついていた。どうしようもない男のビリーはレイラという少女を誘拐し妻に仕立て上げる。そして奇妙な旅が始まる。

これはきっぱりハッキリ好みの別れる映画。嫌いな人には一切受け付けない。
でも私はこの映画結構好きだ。映画的にはどうかなと思うシーンが多々あれど、どうしようもない見栄っ張りで口先だけで弱虫で自分勝手で神経症っぽいビリーと、なにを考えているかわからない謎めいたレイラの組み合わせは味がある。

特にビリーがどうしようもない、本当にどうしようもない男なんだが、「あ、こいつ童貞だなあ」と思ってしまったり、両親を見ていると絶対的に愛情不足だったんだなあと思ったり、騙されたり失敗したりボーリングで喜んでいたり身代わりに刑務所に行ったりするのを見ているうちに「幸せになればいいのに」と思い始めてしまう。

ラスト20分は究極に素晴らしい。お風呂のシーンとベッドのシーンのセンスの良さ、これには脱帽。絶対的に女嫌いっぽい(というかまともな話が出来ない)ビリーとレイラの入浴シーン。膝を抱えちゃうビリーにまるで赤ん坊のようになるビリー。あまりの挙動に笑ってしまう。

それにしてもレイラちゃんがかわいくてかわいくて。あのムッチリがたまらない。彼女は私の超好みの女性だったので見ている間中カワイイを心で連発。ビリーもかわいくなってきたので「あーこんなアホでどうしようもない駄目なかわいいふたりが幸せになるように」と不安で死にそうだった。

いつ死ぬかいつ死ぬか緊張していた。なのでハッピーエンドでホッとした。
勿論ラスト死んでしまった方が名作になったとは思うがこれはこれでよし。なにがあるわけでもない淡々としたテンションの低さ、けれどこのグダッとしたセンスの良さはヴィンセント・ギャロの持ち味だろう。

それにしてもヴィンセント・ギャロの目のヤバサは演技なのか素なのか。素だとしたら続く作品の結末は言わずもがな、ああなって当然なのだ。

[ 2006/12/01 17:20 ] 映画感想は | TB(0) | CM(0)

列車に乗った男 

列車に乗った男

□列車に乗った男/L' HOMME DU TRAIN(もしももう少しはやく出会っていたなら)
・2002/90/フランス/ドイツ/イギリス/スイス
・監督:パトリス・ルコント
・出演:ジャン・ロシュフォール/ジョニー・アリディ
<感想>
観光シーズン以外は人がやってこないような小さな町。そこに中年の男ミランは降り立った。とある仕事があるのだが頭痛がひどく薬局へと赴く。
いかにも流れ者といった風体のミランを見て顔をしかめる薬局の店員。アスピリンを受け取ったが発泡剤だったことに店を出てから気付く(水に溶かす薬)
狭心症の薬を買うためにそこに居合わせた初老の元教師マネスキエはその様子を見ていたが「私の家に来ないかね」とミランを誘う。そしてひょんなことから3日間を共に過ごすことになる。そして奇妙な友情が生まれ始める。

いったいどうしたことだ。キッチンストーリーもそうだったが今年は「オヤジ同士コンビ」に大変萌えがある年なのか。いや単に私が好きなだけか。キッチンストーリーがほのぼのならこちらは切ない展開だ。
ミランはこの小さな町で銀行強盗を計画している無口な男。革ジャンに短髪、拳銃を持ち眼光は鋭く刺青も入っている。
マネスキエはこの小さな町からでたこともない。穏やかで知的で詩の教師でピアノを弾きパイプ煙草をたしなむ。

このふたりがお互いの立場に恋い焦がれる。
とにかくマネスキエは最初の出会いからミランに惹かれる。彼を誘い彼と一緒に過ごしたい、話したいと願う。子供の頃から無法者に憧れていて、でも自分はそうなれないことを知っていたからたまらなく憧れる。彼を大好きだとその目の輝き、口振りから伝わってくる。

彼の革ジャンを着て西部劇の真似をひとりでするのが大変カワイイ。「刺青は入ってるのかね?」「銀行強盗するのかい?」「いいなあ、私も加わりたい」実に無邪気。頼み込んで銃を撃たせてもらったときの喜びよう。なんと髪型までミラン風に変えてしまう。

一方のミランも最初は驚いていたもののマネスキエに憧れる。彼が留守の間に代わりに家庭教師をしてひどく温かい目になる。そして強盗をやりたくないと思い始める。仲間たちにやらないとさえ言う。マネスキエの彼女に非常に敵愾心をもたれたり「あなた嫉妬してるの?」とまで言われるほどマネスキエに憧れる。

パン屋で無視されること。貰ったスリッパ。薄暗い町の外れでふたりで銃を撃つ。静かな晩餐。渡される詩。

マネスキエは心臓の手術を控えている。ミランは仲間を見捨てられず強盗に行く。
運命は交差する。彼らふたりの運命を担う車が交差する。

死の間際ふたりともながらに互いの人生を交換する夢を見る。薄く目を開きマネスキエは列車に乗って流れ者のように旅に出る夢を、ミランはマネスキエの家でピアノを弾く夢を見る。
列車に乗ってやってきた男がいた。そして心を列車に乗せて去った男がいた。お互いに焦がれながら共に人生の幕引きをした。

彼らの結末は切ない。静かに切ない。
ひとりで静かに見ることをお薦めする。
[ 2006/12/01 17:18 ] 映画感想ら〜ろ | TB(0) | CM(0)

女はみんな生きている 

女はみんな生きている

□女はみんな生きている/CHAOS(平凡だって強くて美しい)
・2001/112/フランス
・監督:コリーヌ・セロー
・出演:カトリーヌ・フロ/ヴァンサン・ランドン/ラシダ・ブラクニ
<感想>
自分を家政婦同然にしか思っていない夫&疎んじる息子を抱えた平凡な主婦エレーヌはある日夫と車に乗っているときひとりの女に助けを求められる。だが夫は無視して車を発進させる。その女のことが気になったエレーヌは病院を探し回りその日から彼女の看病のために家を去った。
その女は娼婦のノエミ。彼女はとある秘密を抱え組織に追われる身であった。

いやあ爽快ですな。女同士で意気投合。男は家で大間抜け。しかし旦那がひどい。本当に奥さんのことを「家政婦」程度なんだなと思ったよ。息子も最低最悪。

この映画は女が強い。エレーヌにノエミ、エレーヌの義理の母(実はエレーヌと義母は仲がいいのだが実の息子(エレーヌの夫)は仲がいいことも知らない)息子の彼女ふたり(二股かけてた)

すごいね。息子の彼女ふたりなんか最初は敵対してるんだけどあんまり息子がアホなのでいつのまにか仲良くなってふたり親友になってた(笑)
エレーヌとノミエも幸せ。

ちなみにサスペンス仕立てで物語もテンポがよくて面白い。養父に売られ逃げだし売春婦に仕立て上げられて老人を騙し金を取る。一番はノミエに財産をすべて残す老人富豪かな。彼女に騙されていると、氷のようだとわかっていても財産を残して死んでいく。

ラストは男共を騙してスカッと爽快、ノミエの妹も交えて新天地に旅立っていきましたとさ。男はまだ現状把握が出来なくて(笑) なんで女が去っていったのかもわかっていないという。

男性が見ると不愉快になる映画かもしれないけども、ちょっとそのヶのある人に見ていただきたいなあ。でも考えれば普段は「男メイン・女は恋する役か足手まとい」と相場が決まっているんだから、女が格好良くて女で回って男は全部駄目な映画だってあってもいいはずだよね。

なんでこの旦那が捨てられたのかわからない男の人はちと危険。やっぱり帰ってきて欲しかったら病院まで行くべきだよね。「いつ帰ってくるんだ! 洗濯物がたまってるんだ!」では離婚まで秒読みだよ。
[ 2006/12/01 17:18 ] 映画感想お | TB(0) | CM(0)

運命の逆転 

運命の逆転

□運命の逆転/REVERSAL OF FORTUNE(翻弄される演技力)
・1990/112/アメリカ
・監督:バーベット・シュローダー 
・出演:ジェレミー・アイアンズ/グレン・クローズ/ロン・シルヴァー
<感想>
実話。
1980年のクリスマス、妻を殺そうとしたとクラウス・フォン・ビューローという富豪が告訴される。いったいだれが殺したのか本当の犯人は…… ハーバード・ロー・スクールの法学部教授アラン・ダーショウィッツは彼の弁護を引き受けることになる。

主人公クラウス・フォン・ビューローを演じるジェレミー・アイアンズが第63回アカデミー主演男優賞をこれで受賞した。確かに素晴らしいんだこれが。私はなんの先入観もなしに見たんだがあまりにも魅力的だった。物語はロン・シルヴァー演じるアラン・ダーショウィッツの方がメインでどっちかっていうと彼のが主役にしか見えないんだが、しかし主役はクラウス・フォン・ビューローで、その彼を演じるジェレミー・アイアンズのなにが素晴らしいって「本当に犯人なの? それとも無実なの?」と最後まで視聴する側を翻弄するところにある。

大袈裟な演技や台詞があるわけでなく、雰囲気が妻を愛しているような大切にしているような、されど孤独に縁にある男のような、またはすべてに投げやりになっている男のような、貴族的な退廃がでていて好きになろうとすると突き放されるような心地を味わってしまう。

弁護士側も素晴らしく「彼は有罪に違いない」と言う女性の学生にロンが「司法制度は君が考えているほど単純なものではない」と弁護士というものが一体どういうものかを説くシーン、無罪になり得る証拠を探っていくシーンは法廷ものが好きな人にはたまらないだろう。

ちなみに妻は今も植物状態、犯人は不明、そしてクラウス・フォン・ビューローは生きていて未だ離婚していない。愛していなかったのかもしれないがだれよりも愛していたのかもしれない。それを知っているのは植物状態の妻だけである。
[ 2006/12/01 17:17 ] 映画感想う | TB(0) | CM(0)

イン・アメリカ~三つの小さな願いごと 

イン・アメリカ/三つの小さな願いごと

□イン・アメリカ~三つの小さな願いごと/IN AMERICA(エマに万歳)
・2002/106分/アイルランド/イギリス
・監督:ジム・シェリダン
・出演:サマンサ・モートン/パディ・コンシダイン/サラ・ボルジャー/エマ・ボルジャー/・ジャイモン・フンスー/
<感想>
役者志望のジョニーとその妻のサラ。息子を失ったふたりは娘ふたりと共にアイルランドからNYに夢を抱いてやってきた。ヘルズ・キッチンの一角のアパートで新しい生活をスタートさせる4人。だが現実は厳しくジョニーにはなかなか仕事もない。そして同時に亡くした息子フランキーのことが一家に重くのしかかっている。だがある日階下に住むマテオに出会ったときなにかが変わりはじめる。

この物語はとある一家の再生の物語である。苦痛に満ちた貧乏な生活をきっちりと描いている。そしてまた一家は苦しんでいる。末っ子だったフランキーが階段から転落し、脳腫瘍で死んでしまったことに囚われている。

父ジョニーは息子が死んで以来泣くことができない。心が凍っている。だからオーディションで「魂を感じない」といわれる。妻サラは自分を責めながら夫も責めている。死にたいと願っている。夫の目がフランキーを思い起こさせるので目を見れない。サラはビデオカメラで家族を撮るのが趣味だ。そしていつもフランキーに話しかけている。エマは未だ死の意味がわからない。

彼らが不治の病(病名は明かされないがエイズ。輸血感染)に犯されているマテオと出会い生きる希望を取り戻していく。静かな秀作。役者陣に魅力がある。特に7才のアリエル役のエマには脱帽する。アドリブの演技も多かったそうだが、これで7才というところが怖ろしい。エマを見るだけでも価値がある。
[ 2006/12/01 17:16 ] 映画感想い | TB(1) | CM(0)

はじまりはキッスから 

★はじまりはキッスから/JUST A KISS
・2002/90/アメリカ
・監督:フィッシャー・スティーヴンス
・出演:キラ・セジウィック/マリサ・トメイ/ロン・エルダード/テイ・ディグス
<感想>
NY。なんだかどこかで見たような恋愛が独身男女の間でグルグルする……
ってなわけでダグ&ハリー、ピーター&レベッカってのが一応のメインカップルなんだけど、ダグがうっかりハリーの友人のレベッカにキスして関係がグチャグチャになる。
これがなかなか面白い。なんかアニメ的へんてこ表現が多々入るんだが、関係を修復しようとすればするほどなんだかわけがわからないほどもつれてしまう。

ハリーはチェロ教師と浮気するし、その教師の妻とピーターが浮気するし、ダグとレベッカは当然するし、ピーターにはストーカーのポーラが現れて自殺マニアのレベッカを殺そうとするし、見ている間中「おいおい修復可能かよ?」と興味津々。

ラストは「ふざけんなー」というかどうかはともかくとして、どう足掻いても死んじゃうんだなあと変なところで感心。監督は投げやりになったのだろうか(笑)ポーラが最高にいい味を出している。

キラ・セジウィックがとても好きなので私は終始楽しかったが俳優女優に好きな人がいないと最後まで見たことを後悔しそうだ。だがどうしようもないグダグダの人間関係はどこか「あるある」という感じなので期待せずに見れば楽しめるに違いない。味のある映画なので興味のある人に。

[ 2006/12/01 17:15 ] 映画感想は | TB(0) | CM(0)

穴 



☆穴/HOLES
・2003/117/アメリカ
・監督: アンドリュー・デイヴィス
・出演: シガーニー・ウィーヴァー/ジョン・ヴォイト/シア・ラブーフ
<感想>
期待せずに視聴したらとても面白かった映画。文句なくいい作品だった。

まず主人公はスタンリー・イェルツ4世という少年。ひいひい爺ちゃんがマダム・ゼローニから豚泥棒をしたせいで、一族に呪いがかかってやることなすことみんな不幸。父親3世はスニーカーの靴の匂いを取る発明に力を注ぐが泣かず飛ばずでアパートから追い出されそう。2世のおじいちゃんは愚痴ばかり。


で、4世の彼はある日道を歩いているとき拾ったスニーカーがなんとバスケの有名選手のものだったりして、冤罪を着せられてグリーンレイクキャンプキャンプに送られてしまう。着いた場所はほとんど強制収容所。そこで個性的な仲間に囲まれながら、朝から晩まで穴を掘ることを強制させられる。胡散臭いミスター・サーや怖い女所長は人格形成のためだというのだがどうやらなにかを探しているようだ…… 苦痛の連続の4世くんはそこでゼロというチビの少年と仲良くなっていく。


いやもう絶対にお薦め。桃とタマネギに思わず泣いてしまった。この映画は現在編とひいひいじいちゃんの豚の話、1世が当時一世を風靡した女盗賊キッシン・ケイト・バーロウに有り金全部を巻き上げられて砂漠に放置される話、昔のグリーンレイクでのキャサリン先生(桃ジャム名人)と黒人のサム(タマネギ売り)の悲しい恋物語、キッシン・ケイト・バーロウ(キャサリン先生)の孤独な最後が順繰りにやってくる。


一件バラバラに見えるんだけど全部がきっちり繋がっていて最後は思わず感動。特に全編通して「桃とタマネギ」が重要になっているんだよ。そして名前が4世なのも実にすごーい壮大な伏線になっている。それにプラスしてゼロを背負って山を登って歌を歌うシーンで…… これ以上は見て欲しい。4世とゼロの仲良しぶりも気持ちいい。最後はなにせお隣どうして幸せに暮らすしね。


こういう映画こそ本当は日曜洋画劇場で放映すべきだと思うんだけどな。児童小説のベストセラーと聞いて原作を買おうかなと思っている。特にキャサリン先生とサムの箇所は置き換えて楽しんだ。黒人のくせにという理由で保安官に殺されてしまう彼と、そのために凶悪な女盗賊になってしまう先生。最後に砂漠でサムの幻影を見て死んでいく。


いい映画なのに劇場未公開。ほんと知名度が低くて勿体ない。