列車に乗った男 

列車に乗った男

□列車に乗った男/L' HOMME DU TRAIN(もしももう少しはやく出会っていたなら)
・2002/90/フランス/ドイツ/イギリス/スイス
・監督:パトリス・ルコント
・出演:ジャン・ロシュフォール/ジョニー・アリディ
<感想>
観光シーズン以外は人がやってこないような小さな町。そこに中年の男ミランは降り立った。とある仕事があるのだが頭痛がひどく薬局へと赴く。
いかにも流れ者といった風体のミランを見て顔をしかめる薬局の店員。アスピリンを受け取ったが発泡剤だったことに店を出てから気付く(水に溶かす薬)
狭心症の薬を買うためにそこに居合わせた初老の元教師マネスキエはその様子を見ていたが「私の家に来ないかね」とミランを誘う。そしてひょんなことから3日間を共に過ごすことになる。そして奇妙な友情が生まれ始める。

いったいどうしたことだ。キッチンストーリーもそうだったが今年は「オヤジ同士コンビ」に大変萌えがある年なのか。いや単に私が好きなだけか。キッチンストーリーがほのぼのならこちらは切ない展開だ。
ミランはこの小さな町で銀行強盗を計画している無口な男。革ジャンに短髪、拳銃を持ち眼光は鋭く刺青も入っている。
マネスキエはこの小さな町からでたこともない。穏やかで知的で詩の教師でピアノを弾きパイプ煙草をたしなむ。

このふたりがお互いの立場に恋い焦がれる。
とにかくマネスキエは最初の出会いからミランに惹かれる。彼を誘い彼と一緒に過ごしたい、話したいと願う。子供の頃から無法者に憧れていて、でも自分はそうなれないことを知っていたからたまらなく憧れる。彼を大好きだとその目の輝き、口振りから伝わってくる。

彼の革ジャンを着て西部劇の真似をひとりでするのが大変カワイイ。「刺青は入ってるのかね?」「銀行強盗するのかい?」「いいなあ、私も加わりたい」実に無邪気。頼み込んで銃を撃たせてもらったときの喜びよう。なんと髪型までミラン風に変えてしまう。

一方のミランも最初は驚いていたもののマネスキエに憧れる。彼が留守の間に代わりに家庭教師をしてひどく温かい目になる。そして強盗をやりたくないと思い始める。仲間たちにやらないとさえ言う。マネスキエの彼女に非常に敵愾心をもたれたり「あなた嫉妬してるの?」とまで言われるほどマネスキエに憧れる。

パン屋で無視されること。貰ったスリッパ。薄暗い町の外れでふたりで銃を撃つ。静かな晩餐。渡される詩。

マネスキエは心臓の手術を控えている。ミランは仲間を見捨てられず強盗に行く。
運命は交差する。彼らふたりの運命を担う車が交差する。

死の間際ふたりともながらに互いの人生を交換する夢を見る。薄く目を開きマネスキエは列車に乗って流れ者のように旅に出る夢を、ミランはマネスキエの家でピアノを弾く夢を見る。
列車に乗ってやってきた男がいた。そして心を列車に乗せて去った男がいた。お互いに焦がれながら共に人生の幕引きをした。

彼らの結末は切ない。静かに切ない。
ひとりで静かに見ることをお薦めする。
[ 2006/12/01 17:18 ] 映画感想ら〜ろ | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

Author:みちにおちてたぱん
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ
フリーエリア

FC2カウンター
友達申請フォーム
ブログ内検索
Powered By FC2ブログ